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大谷 環 エッセイ
「キャリア」
コンコルドの誤りというエピソードがある。
英仏両政府が共同して開発を続けていたあの「超音速旅客機」コンコルドは開発途中で明らかに採算がとれないという結論がでた。ところが両政府は「これまで大金を投資したのだから」「ここでやめればそれが無駄になる」という理由で、そのプロジェクトを続けさせた。で、結果はやはり赤字が出ただけだった。赤字になるという試算が出た時点で(最小限の傷で)やめておくべきだったのだ。
会社とか団体での問題の時は他人事で分かりやすいが、同じようなことは個人のレベルでもおこり、自分自身のこととなると中々事は判りづらい。
音楽キャリアを持っている人は要注意の話だ。
コンコルドの赤字の仕事を続けた理由の「金」を「努力」に変えただけで少し見えてくるのではないだろうか?
ある程度の曲が弾けるようになってくると、それまでの経験にしがみつく傾向が出てくる。いちばんつまらないのが「とにかく練習する」というレベル。「考えずに」という言葉をつけ加えるともっと判るかも知れない。まあ、たしかにギターに触れたての時はそういうスタンスでも上達(というのかな?)するんだけれど、あっという間にその時期は過ぎる。
また、今までの練習のスタイルに固執することで、あきらかに間違っていることも変更するパワーをもてないという人もけっこういる。固執する理由は「せっかく今までやってきたから」「いままでの工夫がもったいないから」である。
経験への執着はコンコルドの二の舞いの可能性大である。
すこしでも問題がでてきたらそこをチャンスに経験を洗いなおしてみると面白い。なにかとんでもない勘違いや、誤解が見つかればそれこそ楽しい「キャリアをつむ」ことになるんじゃないだろうか?
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