大谷 環 エッセイ
「表情」
音楽をやっていると、表情豊かな演奏ですねえ、とかいうことがある。ついにこのコーナーも深い表現についての高尚な話になるのかな、と思いきや、ここでは単に「顔」の表情について書こうとおもう。
何のことかいな?と思う方は多いだろうし、うさん臭く思う人も中にはいるかも知れないとは思うけれど、一度注意を向けてみるのは将来のギターライフの充実のために(まあ、それほど大袈裟にということではないかも知れないけど)損ではない。
見るのはもちろん自分の顔である。ためしに鏡をまえにして、ギターを弾きながらちらっと自分の顔を観てみよう。どんな表情をしているのか注意深く観察するのだ。必ずなんらかの癖(思ってもいなかった癖であればあるほどご利益がある)が見つかる。
よく見かけるのは、顎の力が入る。眉間にしわがよる。口が「へ」の字に曲がる。など外見からもわかる「表情」。もう少し、注意を内側に向けていくと、今度は眼球がかたくなって、視線がきつくなっていたり、耳が後ろに引っ張られていたり、舌が上あごにひっついていて不自由な状態になっていて、どういう感情の表現かよくわからない「表情」になっているというのもよくある。
じっさいこれらの癖による筋肉の緊張は「ギターを弾くために」なんら役に立たないという理由で、100%無駄である。という理解のもと、当然次にやるべきことは、無表情になる練習である。
いわゆるポーカーフェイスの練習である。
だまされたつもりで(だますつもりはないけれど)しばらく、注意を顔に向けたまま練習を続けてみるとよい。数分、あるいは数日で顔以外の部分で弛んでくる部分が見つかってくるはずだ。それがわかれば、新たなヒントがうまれて、違うレベルでの練習が見えてくるのだ。
野放しになっていた身体のパーツのコントロールの方法である。お試しあれ。
